ハゲタカ2(上・下) 著:真山 仁

前にご紹介した「ハゲタカ」の続編で、「ハゲタカ2」を取り上げます。元々は「バイアウト」というタイトルでしたが、改題したようです。

鷲津政彦が運営するハゲタカファンド(ホライズン・キャピタル)は、実は大変厳しいルールがあるのです。そのルールとは、ファンドに資金を提供する投資家との間の約束ごとで、
 ・敵対的企業買収の禁止
 ・政府機関との衝突の禁止
 ・利益相反の禁止
もちろん、多額の利益ノルマも。
続編については、前作よりもスケールの大きい企業買収が繰り広げられます。また、上記1項目に引っかかり、鷲津はホライズンを追われることとなります。



(あらすじ)
前作では、父の死の原因を突き止め、危ない橋を渡りつつ復讐を達成した。しかし、その代わりに身を危険にさらすことになり、鷲津は1年間海外を点々とした放浪の旅に出ていた。ようやく日本に戻った頃、ある訃報を聞く。部下であるアランの不穏な死だった。鷲津は、アランの死因を探るため、職に復帰し、アランが携わっていた取り引きについて調べ始めた。
アランが熱心に進めていた案件で、一向に進展を見せていなかったものに、「鈴紡」の企業再建があった。進展がなかったことには理由があり、裏で大きな力が動いていた。しかし、鷲津は、見事な采配で買収まであと一歩のところまで進めてきた。ところが、どんでん返しで飯島がかっさらってしまった。鷲津は手を引くしかなかったが、実は「鈴紡」を狙った理由は別にあり、一番欲しかったものはちゃんと手に入れていたのだ。それは「パンドラの箱」である。(最後にわかります)

鷲津が次に選んだ案件は、「曙電機」という名門電機メーカーの買収だった。しかし、この買収にも、曙電機の再建というより、もっと大きな理由で取りかかっていた。それは、国益を守るため。「曙電機」は、アメリカの軍事ファンド、プラザ・グループに目を付けられていた。理由は、軍事技術として喉から手が出る程欲しい、「ミリ波の技術」だ。これがあれば、精度の高い迎撃ミサイルが完成した。この技術を易々とアメリカへ渡してはならないと鷲津は考えた。しかし、途中過程の中で政府と衝突し、ホライズンを解雇されてしまう。



解雇された鷲津のもとに仲間が集まり、サムライファンドを立ち上げることになります。ここから、鷲津の真骨頂が発揮され、ものの見事にプラザ・グループから日本の技術を守り、また、敵に塩を送るような救済行為をしてみせます。この展開は、是非是非この本を読んで楽しんでください。小説の中に登場する人物は、みな鷲津のことを「魅力的な悪魔」といっています。読者としても、鷲津には大変魅力を感じました。

ただ、アランの死については結局不明で、また、このストーリーにアランの死は必要ないのでは、とも思いました。
最後に、「...to be continued」とありましたので、続編を楽しみにしてます。

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ハゲタカ(上・下) 著:真山 仁

楡周平氏の本ばかり取り上げていますが、私の好きな作家はまだまだいます。今日はその中の一人「真山 仁」氏のものをご紹介したいと思います。

ご紹介する本は、結構名が知れているのではないかと思います。NHKでドラマ化され大森南朋、柴田恭兵らが出演していました。

みなさんは、ハゲタカと聞くとどう思われますか。一般的には「死肉を貪る大型鳥類」という印象があるのではないでしょうか。経済社会でいわれるハゲタカもそんなイメージから名がつけられています。外資系ファンドが傾いた日本企業を安く買いたたき、短期利益を上げるためあらゆる手段をつかって高く転売する。まさにハゲタカです。
「ハゲタカ」という本からは、これぞハゲタカの神髄というものを見させてくれるような気がするとともに、ハゲタカこそが企業(株式会社)について最も熟知し、真剣に運営を考えているのでは、と思える場面もありました。また、経済にあまり詳しくない人でも、この本を読んでいるうちに、知らず知らずのうちに経済について勉強させられ、また興味を持ってくると思います。
 TOB M&A MBO デューデリジェンス バルクセール ゴールデンパラシュート
企業買収が盛んになってきた今こそよくニュースで聞く言葉になってきましたが、経済に疎い人にはなかなかお目にかからない用語ばかりです。経済についてちょっとでも興味をお持ちの方には、その意味からも読んでいただく価値があると思います。

ストーリーは企業買収が主ですが、根本は「復讐」が元となっています。
ニューヨークにいたジャズピアニスト鷲津が、投資ファンドの社長としてバブル後の腐った日本を恐怖へと導く様が描かれています。企業再生のプロとしてシビアな目を持ちつつも、確実に業績を上げていきます。その内容については、是非本を読んでいただきたい思います。
このストーリーのキーマンは、三葉銀行の不良債権処理担当芝野とその上司飯島です。鷲津とこの二人に過去何があったのか、最後に明らかになります。最初に述べた「復讐」に関わってきます。

最後に、この本で終始一貫していることは、叩かれる企業は少なからず経営者に難があることです。オーナー企業の場合、会社の私物化が甚だしく、また、株主軽視により企業価値向上努力を怠り万年赤字経営。そんな企業は、ある意味叩かれて当然かもしれません。外科的治療により企業を再生させるファンド。しかし、従業員としてはやりきれない面もあります。ですので、経営者の方々には企業のため、従業員のため、社会のために日々努力いただきたいと思います。(あえて株主のためと言いませんでした。企業は株主のものという考えがあまり好きではないので・・・しかし、結果的に企業価値を向上させれば、巡り巡って株主のためにもなります。)

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